インサイダー取引規制その7(課徴金)
6.インサイダー取引規制違反の効果その5 課徴金(続き)
(2)課徴金の額の算出方法
課徴金の額は、違反類型ごとに一般的・抽象的に想定される経済的利益相当額として法定された算出方法に従い算出されます。違反者が実際に得た利益額そのものがいくらであるのかにかかわらず、法定された算出方法に従って課徴金の額が算出されることになります。したがって、行政庁の裁量の余地はなく、また、違反者が得た経済的利益を大きく上回るような制裁金的な課徴金が課せられることもありません。
インサイダー取引違反の場合には、以下の各場合に応じて課徴金の額が算出されます。平成20年の金商法改正により、従来の公表日翌日の終値を基準として課徴金の額を算出されていた点が、公表後2週間以内の最安値ないし最高値を基準に算出するものと変更されています。また、複数の違反がある場合(複数の場合に該当するとき)は、その合計額が課徴金の額となります。
(A)166条違反の場合(175条1項)
(a)重要事実の公表がされた日以前6月以内に売付け等を行っている場合(株価下落につながるネガティブ情報の場合を想定)
(b)重要事実の公表がされた日以前6月以内に買付け等を行っている場合(株価上昇につながるポジティブ情報の場合を想定)
(c)金融商品取引業者等が顧客の計算において売買等をした場合
(B)167条違反の場合(175条2項)
(a)公開買付け等の実施または中止に関する重要事実の公表がされた日以前6月以内に売付け等を行っている場合(株価下落につながる公開買付け等の中止に関する情報の場合を想定)
(b)公開買付け等の実施または中止に関する重要事実の公表がされた日以前6月以内に買付け等を行っている場合(株価上昇につながる公開買付け等の実施に関する情報の場合を想定)
(c)金融商品取引業者等が顧客の計算において売買等をした場合
金融商品取引業者等が顧客の計算において売買等をした場合の手数料、報酬その他の対価の額として内閣府令で定める額は、平成20年の金商法改正で追加されたものです。このような場合、本来行ってはならない違反行為を通じて手数料等を得たものと考えられるため、それに相当する額の課徴金を課すとしたものです。課徴金府令は、投資運用業とそれ以外の場合を分けて、手数料等の額を定めています。
なお、「有価証券の売付け等」、「有価証券の買付け等」、最安値、最高値については、それぞれ定義規定が設けられています(175条3項ないし8項)。
http://igi.jp/service.html
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(2)課徴金の額の算出方法
課徴金の額は、違反類型ごとに一般的・抽象的に想定される経済的利益相当額として法定された算出方法に従い算出されます。違反者が実際に得た利益額そのものがいくらであるのかにかかわらず、法定された算出方法に従って課徴金の額が算出されることになります。したがって、行政庁の裁量の余地はなく、また、違反者が得た経済的利益を大きく上回るような制裁金的な課徴金が課せられることもありません。
インサイダー取引違反の場合には、以下の各場合に応じて課徴金の額が算出されます。平成20年の金商法改正により、従来の公表日翌日の終値を基準として課徴金の額を算出されていた点が、公表後2週間以内の最安値ないし最高値を基準に算出するものと変更されています。また、複数の違反がある場合(複数の場合に該当するとき)は、その合計額が課徴金の額となります。
(A)166条違反の場合(175条1項)
(a)重要事実の公表がされた日以前6月以内に売付け等を行っている場合(株価下落につながるネガティブ情報の場合を想定)
(売却金額−重要事実公表後2週間以内の最安値)×売却株数
(b)重要事実の公表がされた日以前6月以内に買付け等を行っている場合(株価上昇につながるポジティブ情報の場合を想定)
(重要事実公表後2週間以内の最高値−購入金額)×購入株数
(c)金融商品取引業者等が顧客の計算において売買等をした場合
当該売買等に係る手数料、報酬その他の対価の額として内閣府令で定める額
(B)167条違反の場合(175条2項)
(a)公開買付け等の実施または中止に関する重要事実の公表がされた日以前6月以内に売付け等を行っている場合(株価下落につながる公開買付け等の中止に関する情報の場合を想定)
(売却金額−重要事実公表後2週間以内の最安値)×売却株数
(b)公開買付け等の実施または中止に関する重要事実の公表がされた日以前6月以内に買付け等を行っている場合(株価上昇につながる公開買付け等の実施に関する情報の場合を想定)
(重要事実公表後2週間以内の最高値−購入金額)×購入株数
(c)金融商品取引業者等が顧客の計算において売買等をした場合
当該買付け等又は売付け等に係る手数料、報酬その他の対価の額として内閣府令で定める額
金融商品取引業者等が顧客の計算において売買等をした場合の手数料、報酬その他の対価の額として内閣府令で定める額は、平成20年の金商法改正で追加されたものです。このような場合、本来行ってはならない違反行為を通じて手数料等を得たものと考えられるため、それに相当する額の課徴金を課すとしたものです。課徴金府令は、投資運用業とそれ以外の場合を分けて、手数料等の額を定めています。
なお、「有価証券の売付け等」、「有価証券の買付け等」、最安値、最高値については、それぞれ定義規定が設けられています(175条3項ないし8項)。
http://igi.jp/service.html
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