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秘密保持契約その6

7.秘密保持義務違反の効果
   
(1)損害賠償
  
秘密保持義務に違反した場合に認められる効果は、生じた損害の賠償請求が認められることです。規定の仕方としては、違反により生じた損害を賠償することを抽象的に規定するのが通常です。この場合に何が損害なのか、どの範囲の損害賠償が認められるのかについては、実例が少なく、明確ではない面がありますが、一律に少なくとも一定額の損害が発生したものとみなす規定を定めたりすることは、現在のところあまりありません。また、逆に、損害賠償の上限を定めておくこともあまりありません。ただ、今後は、実際の紛争が増加してくれば、規定されるケースも出てくると思います。

(2)契約の解除  
  
秘密保持義務違反の効果として、ときどき契約の解除を定めているドラフトがありますが、秘密保持契約については、契約を解除しても、秘密保持義務がなくなるだけなので(但し、契約終了後も秘密保持義務が存続すると規定されるのが通常です)、意味がないので、解除の規定は定めないのが通常です。
  
(3)差止め
  
ある会社が特定の相手方に開示した秘密情報を、相手方が不当に第三者に開示したり、流用したりした場合には、相手方に対し損害賠償請求することのほかに、その行為を差し止めることを検討する必要があります。不正競争防止法は、「営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の競業その他の不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為」が「不正競争」の一つとされており(第2 条第7 号)、不正競争に対しては、損害賠償請求(第4 条)のほかに、差止請求(第3 条)が認められています。したがって、不正競争に該当する場合には差止請求が可能となりますが、不正競争に該当するためには、不正競争防止法上の営業秘密である必要があります。ある情報が営業秘密に該当するか否かは、実際に紛争になった場合に争いになりやすいところですが、秘密保持契約を締結することなく相手方に開示していた場合には、営業秘密に該当しないと認定される可能性が高くなるため、営業秘密であることを明らかにする意味でも秘密保持契約を締結した上で情報を開示する必要があります。


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8.契約期間   契約期間は、秘密情報の内容や、秘密情報を開示する目的などに応じて定めることになりますが、契約期間が終了した後も、一定期間は、秘密保持義務が存続すると定めるのが通常です。その存続期間についても、開示される秘密情報の内容(性質)などに応
秘密保持契約その7 | blog/igi.jp | 2009/01/16 3:09 PM