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インサイダー取引規制における情報受領者

あまり書いている方がいないようなので一応。

会社関係者等のインサイダー取引規制(金商法166条)における情報受領者は、原則として第一次情報受領者(3項前段)に限定されていますが、平成10年のいわゆる金融システム改革法により後段が加えられており、今回NHKの記者らの行為について問題となるのは、現行法ではとりあえずは後段と考えるほうが自然という気はします(少なくとも形式的には第一次情報受領者は直接取材した記者ということになるので)。

ただ、後段が付け加えられる改正以前から、第一次情報受領者は実質的に判断されるという見解が有力で(インサイダー取引規制導入時の立法担当者の解説でかかる解釈がとられていたことがおそらくその理由)、その具体的な場面の1つとして、報道機関において報道業務に従事する者が報道機関内部でその重要事実を知った場合(報道された記事等で知った場合を除くという趣旨)には、第一次情報受領者に該当するとの議論がなされていたところなので、今回のようなケースでは、仮に後段がなかったとしても、現在の前段にも該当しうる、ということになると思います。このような考え方では、ある意味で報道機関の特殊性が考慮されていることにもなりますが、一般の投資家等にはアクセスできない未公表の重要事実が集まる報道機関におけるインサイダー取引の防止を考える際には、参考になるような気がします。

金融商品取引法166条3項
会社関係者(第1項後段に規定する者を含む。以下この項において同じ。)から当該会社関係者が第1項各号に定めるところにより知つた同項に規定する業務等に関する重要事実の伝達を受けた者(同項各号に掲げる者であつて、当該各号に定めるところにより当該業務等に関する重要事実を知つたものを除く。)又は職務上当該伝達を受けた者が所属する法人の他の役員等であつて、その者の職務に関し当該業務等に関する重要事実を知つたものは、当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買等をしてはならない。


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