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インサイダー取引規制その21(重要事実の公表)

9.会社関係者等のインサイダー取引規制の要件その3 「公表」

3−4 重要事実の公表

3−4−1 「公表」の意義

 インサイダー取引規制は、重要事実が「公表」される前に特定有価証券等の売買等を行うことを禁止するものであり、「公表」後の売買等は禁止されていません。つまり、重要事実の「公表」後はインサイダー取引とはならないので、「公表」はインサイダー取引規制を解除する要件としての意味を有することになります。

 金商法166条4項は、以下の場合の「公表」の方法を定めています。いずれもインサイダー取引の成立範囲にかかわるものですが、166条1項・3項の重要事実の「公表」が前述のとおり、インサイダー取引規制を解除する要件としての意味を有するので、特に重要です。

(1)166条1項・3項の重要事実の「公表」
(2)166条2項1号の業務執行決定機関の決定の「公表」
(3)166条2項3号の上場会社等の売上高等の直近の予想値・前事業年度の実績値の「公表」
(4)166条2項5号の子会社の業務執行決定機関の決定の「公表」
(5)166条2項7号の子会社の売上高等の直近の予想値・前事業年度の実績値の「公表」

3−4−2 「公表」の方法

 金商法166条4項は、「公表」の方法として、以下の2つを規定しています。公表方法は、以下の2つに限定されており、その他の方法、例えば、新聞、テレビ等のマスコミによりいわゆるスクープ報道がなされたり、会社の関係者等がインターネット上に情報をリークしたりしても、下記の2つの法定の方法による公表がなされない限り、「公表」されたものとは認められず、インサイダー取引規制は解除されません。

(1)当該上場会社等又は当該上場会社等の子会社により多数の者の知り得る状態に置く措置として政令で定める措置がとられたこと(子会社については、当該子会社の第1項に規定する業務等に関する重要事実、当該子会社の業務執行を決定する機関の決定又は当該子会社の売上高等に限る。)

(2)当該上場会社等若しくは当該上場会社等の子会社が提出した25条1項に規定する書類(同項11号に掲げる書類を除く。)にこれらの事項が記載されている場合において、当該書類が同項の規定により公衆の縦覧に供されたこと


上記(1)の「政令で定める措置」として、金商法30条は、以下の2つの措置を定めています。

(1−A)
163条1項に規定する上場会社等若しくは当該上場会社等の子会社を代表すべき取締役若しくは執行役(協同組織金融機関を代表すべき役員を含む。)若しくは当該取締役若しくは執行役から重要事実等(166条4項に規定する上場会社等に係る同条1項に規定する業務等に関する重要事実、上場会社等の業務執行を決定する機関の決定、上場会社等の売上高等若しくは同条2項1号トに規定する配当、上場会社等の属する企業集団の売上高等、上場会社等の子会社の業務執行を決定する機関の決定又は上場会社等の子会社の売上高等をいう。)を公開することを委任された者が、当該重要事実等を次に掲げる報道機関の2以上を含む報道機関に対して公開し、かつ、当該公開された重要事実等の周知のために必要な期間が経過したこと。
イ 国内において時事に関する事項を総合して報道する日刊新聞紙の販売を業とする新聞社及び当該新聞社に時事に関する事項を総合して伝達することを業とする通信社
ロ 国内において産業及び経済に関する事項を全般的に報道する日刊新聞紙の販売を業とする新聞社
ハ 日本放送協会及び一般放送事業者

(1−B)
163条1項に規定する上場会社等が、その発行する有価証券を上場する各金融商品取引所(当該有価証券が店頭売買有価証券である場合にあっては当該有価証券を登録する各証券業協会とし、当該有価証券が取扱有価証券である場合にあっては当該有価証券の取扱有価証券としての指定を行う各認可金融商品取引業協会とする。)の規則で定めるところにより、重要事実等を当該証券取引所に通知し、かつ、当該通知された重要事実等が、内閣府令で定めるところにより、当該証券取引所において公衆の縦覧に供されたこと。


【参照条文】
(金商法)
166条4項
第1項、第2項第1号、第3号、第5号及び第7号並びに前項の公表がされたとは、上場会社等に係る第1項に規定する業務等に関する重要事実、上場会社等の業務執行を決定する機関の決定、上場会社等の売上高等若しくは第2項第1号トに規定する配当、上場会社等の属する企業集団の売上高等、上場会社等の子会社の業務執行を決定する機関の決定又は上場会社等の子会社の売上高等について、当該上場会社等又は当該上場会社等の子会社(子会社については、当該子会社の第1項に規定する業務等に関する重要事実、当該子会社の業務執行を決定する機関の決定又は当該子会社の売上高等に限る。以下この項において同じ。)により多数の者の知り得る状態に置く措置として政令で定める措置がとられたこと又は当該上場会社等若しくは当該上場会社等の子会社が提出した第25条第1項に規定する書類(同項第11号に掲げる書類を除く。)にこれらの事項が記載されている場合において、当該書類が同項の規定により公衆の縦覧に供されたことをいう。

(金商法施行令)
(公表措置)
第30条 法第166条第4項又は第167条第4項に規定する上場会社等若しくは当該上場会社等の子会社又は公開買付者等により多数の者の知り得る状態に置く措置として政令で定める措置がとられたこととは、次の各号に掲げる措置のいずれかがとられたこととする。
1.法第163条第1項に規定する上場会社等若しくは当該上場会社等の子会社を代表すべき取締役若しくは執行役(協同組織金融機関を代表すべき役員を含む。以下この項において同じ。)若しくは当該取締役若しくは執行役から重要事実等(法第166条第4項に規定する上場会社等に係る同条第1項に規定する業務等に関する重要事実、上場会社等の業務執行を決定する機関の決定、上場会社等の売上高等若しくは同条第2項第1号トに規定する配当、上場会社等の属する企業集団の売上高等、上場会社等の子会社の業務執行を決定する機関の決定又は上場会社等の子会社の売上高等をいう。以下この項において同じ。)を公開することを委任された者又は法第167条第1項に規定する公開買付者等(法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)にあっては、当該法人を代表すべき者又は管理人)若しくは当該公開買付者等から同条第4項に規定する公開買付け等事実(以下この項において「公開買付け等事実」という。)を公開することを委任された者が、当該重要事実等又は当該公開買付け等事実を次に掲げる報道機関の2以上を含む報道機関に対して公開し、かつ、当該公開された重要事実等又は公開買付け等事実の周知のために必要な期間が経過したこと。
イ 国内において時事に関する事項を総合して報道する日刊新聞紙の販売を業とする新聞社及び当該新聞社に時事に関する事項を総合して伝達することを業とする通信社
ロ 国内において産業及び経済に関する事項を全般的に報道する日刊新聞紙の販売を業とする新聞社
ハ 日本放送協会及び一般放送事業者
2.法第163条第1項に規定する上場会社等が、その発行する有価証券を上場する各金融商品取引所(当該有価証券が店頭売買有価証券である場合にあっては当該有価証券を登録する各証券業協会とし、当該有価証券が取扱有価証券である場合にあっては当該有価証券の取扱有価証券としての指定を行う各認可金融商品取引業協会とする。以下この号において同じ。)の規則で定めるところにより、重要事実等又は公開買付け等事実(上場株券等(法第24条の6第1項に規定する上場株券等をいう。第33条において同じ。)の法第27条の22の2第1項に規定する公開買付けに係るものに限る。以下この号において同じ。)を当該証券取引所に通知し、かつ、当該通知された重要事実等又は公開買付け等事実が、内閣府令で定めるところにより、当該証券取引所において公衆の縦覧に供されたこと。
2 前項第1号に規定する周知のために必要な期間は、同号イ、ロ又はハに掲げる報道機関のうち少なくとも2の報道機関に対して公開した時から12時間とする。


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インサイダー取引規制その20(重要事実/子会社の決算情報等)

8.会社関係者等のインサイダー取引規制の要件その2 重要事実(続きその8)

3−3−6−3 子会社の決算情報(7号)

当該上場会社等の子会社(第2条第1項第5号、第7号又は第9号に掲げる有価証券で金融商品取引所に上場されているものの発行者その他の内閣府令で定めるものに限る。)の売上高等について、公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)に比較して当該子会社が新たに算出した予想値又は当事業年度の決算において差異(投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)が生じたこと

が重要事実となります。重要基準(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令55条2項)に該当する場合のみ重要事実となりますので、軽微基準はありません。

第2条第1項第5号、第7号又は第9号に掲げる有価証券で金融商品取引所に上場されているものの発行者その他の内閣府令で定めるものは、令第27条の2各号に掲げる有価証券の発行者及び連動子会社(子会社連動株式に係る売買等をする場合に限る。)とされています(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令55条1項)。

重要基準(法第166条第2項第7号に規定する投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして内閣府令で定める基準)は、以下のとおりです。

1.売上高
新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)で除して得た数値が1.1以上又は0.9以下であること。<増減が10%以上>

2.経常利益 
新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)で除して得た数値が1.3以上又は0.7以下<増減が30%以上>(公表がされた直近の予想値又は当該予想値がない場合における公表がされた前事業年度の実績値が零の場合はすべてこの基準に該当することとする。)であり、かつ、新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値と公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)とのいずれか少なくない数値から他方を減じて得たものを前事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額で除して得た数値が100分の5以上であること。<差額が5%以上>

3.純利益 
新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)で除して得た数値が1.3以上又は0.7以下<増減が30%以上>(公表がされた直近の予想値又は当該予想値がない場合における公表がされた前事業年度の実績値が零の場合はすべてこの基準に該当することとする。)であり、かつ、新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値と公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)とのいずれか少なくない数値から他方を減じて得たものを前事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額で除して得た数値が100分の2.5以上であること。<差額が2.5%以上>


(8)バスケット条項(166条2項8号)

前3号に掲げる事実を除き、当該上場会社等の子会社の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの

が重要事実となります。解釈上の問題点は、当該上場会社等の場合と同様です。

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インサイダー取引規制その19(重要事実/子会社の発生事実)

8.会社関係者等のインサイダー取引規制の要件その2 重要事実(続きその7)

(6)子会社の発生事実(166条6号)

当該上場会社等の子会社に次に掲げる事実が発生したこと

が重要事実となります。

軽微基準は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令53条1項に定められています(【 】内が軽微基準となります。)。

イ 災害に起因する損害又は業務遂行の過程で生じた損害
【災害若しくは業務に起因する損害又は業務遂行の過程で生じた損害の額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の3に相当する額未満であると見込まれること。】

ロ イに掲げる事実に準ずる事実として政令で定める事実(金商法施行令29条の2)

1.財産権上の請求に係る訴えが提起されたこと又は当該訴えについて判決があつたこと若しくは当該訴えに係る訴訟の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと。
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 訴えが提起されたことにあっては、訴訟の目的の価額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の15に相当する額未満であり、かつ、当該請求が当該訴えの提起後直ちに訴えのとおり認められて敗訴したとした場合、当該訴えの提起された日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該敗訴による売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 訴えについて判決があったこと又は訴えに係る訴訟の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと(ロにおいて「判決等」という。)にあっては、イに掲げる基準に該当する訴えの提起に係る判決等の場合又はイに掲げる基準に該当しない訴えの提起に係る訴訟の一部が裁判によらずに完結した場合であって、当該判決等により当該子会社(協同組織金融機関を含む。)の給付する財産の額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の3に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該判決等の日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該判決等による売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

2.事業の差止めその他これに準ずる処分を求める仮処分命令の申立てがなされたこと又は当該申立てについて裁判があつたこと若しくは当該申立てに係る手続の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと。
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 仮処分命令の申立てがなされたことにあっては、当該仮処分命令が当該申立て後直ちに申立てのとおり発せられたとした場合、当該申立ての日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該仮処分命令による売上高の減少額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 仮処分命令の申立てについての裁判があったこと又は当該申立てに係る手続の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと(ロにおいて「裁判等」という。)にあっては、当該裁判等の日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該裁判等による売上高の減少額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

3.免許の取消し、事業の停止その他これらに準ずる行政庁による法令に基づく処分
【法令に基づく処分を受けた日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該処分による売上高の減少額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

4.債権者その他の当該子会社以外の者による破産手続開始の申立て等
【なし】

5.不渡り等
【なし】

6.孫会社に係る破産手続開始の申立て等
【なし】

7.債務者又は保証債務に係る主たる債務者について不渡り等、破産手続開始の申立て等その他これらに準ずる事実が生じたことにより、当該債務者に対する売掛金、貸付金その他の債権又は当該保証債務を履行した場合における当該主たる債務者に対する求償権について債務の不履行のおそれが生じたこと。
【売掛金、貸付金その他の債権又は求償権について債務の不履行のおそれのある額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の3に相当する額未満であると見込まれること。】

8.主要取引先との取引の停止
【主要取引先との取引の停止の日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該取引の停止による売上高の減少額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

9.債権者による債務の免除又は第三者による債務の引受け若しくは弁済
【債務の免除の額又は債務の引受け若しくは弁済の額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の末日における債務の総額の100分の10に相当する額未満であること。】

10.資源の発見
【発見された資源の採掘又は採取を開始する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該資源を利用する事業による売上高の増加額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】


【子会社連動株式についての軽微基準】
子会社連動株式についての軽微基準は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令53条2項に定められています。
イ 災害に起因する損害又は業務遂行の過程で生じた損害
【災害若しくは業務に起因する損害又は業務遂行の過程で生じた損害の額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の3に相当する額未満であると見込まれること。】

ロ イに掲げる事実に準ずる事実として政令で定める事実(金商法施行令29条の2)

1.財産権上の請求に係る訴えが提起されたこと又は当該訴えについて判決があつたこと若しくは当該訴えに係る訴訟の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと。
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 訴えが提起されたことにあっては、訴訟の目的の価額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の15に相当する額未満であり、かつ、当該請求が当該訴えの提起後直ちに訴えのとおり認められて敗訴したとした場合、当該訴えの提起された日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該敗訴による売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 訴えについて判決があったこと又は訴えに係る訴訟の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと(ロにおいて「判決等」という。)にあっては、イに掲げる基準に該当する訴えの提起に係る判決等の場合又はイに掲げる基準に該当しない訴えの提起に係る訴訟の一部が裁判によらずに完結した場合であって、当該判決等により当該子会社(協同組織金融機関を含む。)の給付する財産の額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の3に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該判決等の日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該判決等による売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

2.事業の差止めその他これに準ずる処分を求める仮処分命令の申立てがなされたこと又は当該申立てについて裁判があつたこと若しくは当該申立てに係る手続の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと。
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 仮処分命令の申立てがなされたことにあっては、当該仮処分命令が当該申立て後直ちに申立てのとおり発せられたとした場合、当該申立ての日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該仮処分命令による売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 仮処分命令の申立てについての裁判があったこと又は当該申立てに係る手続の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと(ロにおいて「裁判等」という。)にあっては、当該裁判等の日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該裁判等による売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

3.免許の取消し、事業の停止その他これらに準ずる行政庁による法令に基づく処分
【法令に基づく処分を受けた日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該処分による売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

4.債権者その他の当該子会社以外の者による破産手続開始の申立て等
【なし】

5.不渡り等
【なし】

6.孫会社に係る破産手続開始の申立て等
【なし】

7.債務者又は保証債務に係る主たる債務者について不渡り等、破産手続開始の申立て等その他これらに準ずる事実が生じたことにより、当該債務者に対する売掛金、貸付金その他の債権又は当該保証債務を履行した場合における当該主たる債務者に対する求償権について債務の不履行のおそれが生じたこと。
【売掛金、貸付金その他の債権又は求償権について債務の不履行のおそれのある額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の3に相当する額未満であると見込まれること。】

8.主要取引先との取引の停止
【主要取引先との取引の停止の日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該取引の停止による売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

9.債権者による債務の免除又は第三者による債務の引受け若しくは弁済

【債務の免除の額又は債務の引受け若しくは弁済の額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における債務の総額の100分の10に相当する額未満であること。】

10.資源の発見
【発見された資源の採掘又は採取を開始する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該資源を利用する事業による売上高の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

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インサイダー取引規制その18(重要事実/子会社の決定事実)

8.会社関係者等のインサイダー取引規制の要件その2 重要事実(続きその6)

(5)子会社の決定事実(166条2項5号)

重要事実となるのは

当該上場会社等の子会社の業務執行を決定する機関が当該子会社について次に掲げる事項を行うことについての決定をしたこと又は当該機関が当該決定(公表がされたものに限る。)に係る事項を行わないことを決定したこと

とされています。

子会社の決定事実における業務執行決定機関は、子会社の機関となります。但し、子会社の業務執行を親会社が決定しているような場合には、親会社の機関が子会社の業務執行決定機関であるとされる可能性もあります。「業務執行を決定する機関」の意義、「…ついての決定をしたこと」の意義、決定の有効性、中止決定などについては、166条2項1号の場合(URLインサイダー取引規制その12参照)と同様です。

軽微基準は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令52条1項に定められており、基本的に連結ベースでの数値が基準とされていますが(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令52条1項)、子会社連動株式(トラッキング・ストック)については、連動子会社の数値が基準とされます(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令52条2項)。

個々の決定事実と軽微基準は以下のとおりです(【 】内が軽微基準となります。)。

イ 株式交換
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 株式交換による当該上場会社等の属する企業集団の資産の増加額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 株式交換による当該上場会社等の属する企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ロ 株式移転
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 株式移転による当該上場会社等の属する企業集団の資産の増加額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 株式移転による当該上場会社等の属する企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ハ 合併
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 合併による当該上場会社等の属する企業集団の資産の増加額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該合併の予定日の属する当該企業集団の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該合併による当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 合併による当該上場会社等の属する企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該合併の予定日の属する当該企業集団の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該合併による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ニ 会社の分割
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 会社の分割により事業の全部又は一部を承継する場合であって、当該分割による当該上場会社等の属する企業集団の資産の増加額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該分割の予定日の属する当該企業集団の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該分割による当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 会社の分割により事業の全部又は一部を承継させる場合であって、当該分割による当該上場会社等の属する企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該分割の予定日の属する当該企業集団の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該分割による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ホ 事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 事業の全部又は一部の譲受けによる当該上場会社等の属する企業集団の資産の増加額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該譲受けの予定日の属する当該企業集団の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該譲受けによる当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 事業の全部又は一部の譲渡による当該上場会社等の属する企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該譲渡の予定日の属する当該企業集団の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該譲渡による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ヘ 解散(合併による解散を除く。)
URL平成20年改正については、こちらを参照。
【解散(合併による解散を除く。以下この号及び次項第5号の2において同じ。)による当該上場会社等の属する企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該解散の予定日の属する当該企業集団の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該解散による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ト 新製品又は新技術の企業化
【新製品の販売又は新技術を利用する事業の開始予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該新製品又は新技術の企業化による売上高の増加額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該新製品の販売又は新技術を利用する事業の開始のために特別に支出する額の合計額が当該企業集団の最近事業年度の末日における固定資産の帳簿価額の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

チ 業務上の提携その他のイからトまでに掲げる事項に準ずる事項として政令で定める事項(金商法施行令29条

1.業務上の提携又は業務上の提携の解消
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 業務上の提携を行う場合にあっては、当該業務上の提携の予定日の属する当該上場会社等の属する企業集団の事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該業務上の提携による当該企業集団の売上高の増加額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、次の(1)から(3)までに掲げる場合においては、当該(1)から(3)までに定めるものに該当すること。
(1) 業務上の提携により相手方の会社(協同組織金融機関を含む。)の株式(優先出資を含む。(1)及び(2)において同じ。)又は持分を新たに取得する場合
 新たに取得する当該相手方の会社の株式又は持分の取得価額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
(2) 業務上の提携により相手方に株式を新たに取得される場合
 新たに当該相手方に取得される株式の数が当該子会社の最近事業年度の末日における発行済株式(発行済優先出資を含む。)の総数の100分の5以下であると見込まれること。
(3) 業務上の提携により他の会社(協同組織金融機関を含む。)と共同して新会社を設立する場合(当該新会社の設立が孫会社(令第29条第2号に規定する孫会社をいう。以下この条において同じ。)の設立に該当する場合を除く。)
 新会社の設立の予定日から3年以内に開始する当該新会社の各事業年度の末日における総資産の帳簿価額に新会社設立時の出資比率(所有する株式の数又は持分の価額(当該上場会社等の属する企業集団に属する他の会社が当該業務上の提携により所有する株式の数又は持分の価額を含む。)を発行済株式の総数又は出資の総額で除して得た数値をいう。以下この条において同じ。)を乗じて得たものがいずれも当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該新会社の当該各事業年度における売上高に出資比率を乗じて得たものがいずれも当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 業務上の提携の解消を行う場合にあっては、当該業務上の提携の解消の予定日の属する当該上場会社等の属する企業集団の事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該業務上の提携の解消による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、次の(1)から(3)までに掲げる場合においては、当該(1)から(3)までに定めるものに該当すること。
(1) 業務上の提携により相手方の会社(協同組織金融機関を含む。)の株式(優先出資を含む。(1)及び(2)において同じ。)又は持分を取得している場合
 取得している当該相手方の会社の株式又は持分の帳簿価額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額の100分の10に相当する額未満であること。
(2) 業務上の提携により相手方に株式を取得されている場合
 当該相手方に取得されている株式の数が当該子会社の最近事業年度の末日における発行済株式(発行済優先出資を含む。)の総数の100分の5以下であること。
(3) 業務上の提携により他の会社(協同組織金融機関を含む。)と共同して新会社を設立している場合
 新会社の最近事業年度の末日における当該新会社の総資産の帳簿価額に出資比率を乗じて得たものが当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であり、かつ、当該新会社の最近事業年度の売上高に出資比率を乗じて得たものが当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であること。】

2.孫会社(子会社が支配する会社として内閣府令で定めるもの)の異動を伴う株式又は持分の譲渡又は取得
【次に掲げる孫会社の異動を伴うものであること。
イ 孫会社又は新たに孫会社となる会社の最近事業年度の末日における総資産の帳簿価額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であり、かつ、当該孫会社又は新たに孫会社となる会社の最近事業年度の売上高が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれる孫会社
ロ 新たに設立する孫会社の設立の予定日から3年以内に開始する当該孫会社の各事業年度の末日における総資産の帳簿価額がいずれも当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該各事業年度における売上高がいずれも当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれる孫会社】

3.固定資産の譲渡又は取得
【固定資産の譲渡又は取得による当該上場会社等の属する企業集団の資産の減少額又は増加額が当該企業集団の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれること。】

4.事業の全部又は一部の休止又は廃止
【事業の全部又は一部の休止又は廃止の予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該休止又は廃止による売上高の減少額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

5.破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の申立て
【なし】

6.新たな事業の開始
【新たな事業の開始の予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該新たな事業の開始による売上高の増加額が当該上場会社等の属する企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該新たな事業の開始のために特別に支出する額の合計額が当該企業集団の最近事業年度の末日における固定資産の帳簿価額の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

7.預金保険法第74条第5項の規定による申出
【なし】

8.剰余金の配当(法第163条第1項に規定する上場会社等が発行する株式であって、その剰余金の配当が特定の子会社の剰余金の配当に基づき決定される旨が当該上場会社等の定款で定められた株式についての当該特定の子会社に係るものに限る。)
【子会社連動株式(同号に規定するその剰余金の配当が特定の子会社の剰余金の配当に基づき決定される旨が当該上場会社等の定款で定められた株式をいう。以下同じ。)以外の特定有価証券等に係る売買等(法第166条第1項に規定する売買等をいう。以下この章において同じ。)を行う場合における連動子会社の剰余金の配当についての決定をしたこと。】


子会社連動株式についての軽微基準は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令52条2項に定められています。現在は発行されているものはないので、重要性は低くなりますが、以下のとおりです(ソニーが2000年に発行したソニーコミュニケーションネットワークを対象とする日本版トラッキング・ストックは2005年にソニーの普通株式に転換されました)。

イ 株式交換
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 株式交換による当該連動子会社の資産の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該連動子会社の売上高の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 株式交換による当該連動子会社の資産の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該連動子会社の売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ロ 株式移転
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 株式移転による当該連動子会社の資産の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該連動子会社の売上高の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 株式移転による当該連動子会社の資産の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該連動子会社の売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ハ 合併
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 合併による当該連動子会社の資産の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該合併の予定日の属する当該連動子会社の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該合併による当該連動子会社の売上高の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 合併による当該連動子会社の資産の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該合併の予定日の属する当該連動子会社の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該合併による当該連動子会社の売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ニ 会社の分割
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 会社の分割により事業の全部又は一部を承継する場合であって、当該分割による当該連動子会社の資産の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該分割の予定日の属する当該連動子会社の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該分割による当該連動子会社の売上高の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 会社の分割により事業の全部又は一部を承継させる場合であって、当該分割による当該連動子会社の資産の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該分割の予定日の属する当該連動子会社の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該分割による当該連動子会社の売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ホ 事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 事業の全部又は一部の譲受けによる当該連動子会社の資産の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該譲受けの予定日の属する当該連動子会社の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該譲受けによる当該連動子会社の売上高の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 事業の全部又は一部の譲渡による当該連動子会社の資産の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該譲渡の予定日の属する当該連動子会社の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該譲渡による当該連動子会社の売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ヘ 解散(合併による解散を除く。)
URL平成20年改正はこちらを参照。
【解散による当該連動子会社の資産の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該解散の予定日の属する当該連動子会社の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該解散による当該連動子会社の売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

ト 新製品又は新技術の企業化
【新製品の販売又は新技術を利用する事業の開始予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該新製品又は新技術の企業化による売上高の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該新製品の販売又は新技術を利用する事業の開始のために特別に支出する額の合計額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における固定資産の帳簿価額の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

チ 業務上の提携その他のイからトまでに掲げる事項に準ずる事項として政令で定める事項(金商法施行令29条)

1.業務上の提携又は業務上の提携の解消
【次に掲げるもののいずれかに該当すること。
イ 業務上の提携を行う場合にあっては、当該業務上の提携の予定日の属する当該連動子会社の事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該業務上の提携による当該連動子会社の売上高の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、次の(1)から(3)までに掲げる場合においては、当該(1)から(3)までに定めるものに該当すること。
(1) 業務上の提携により相手方の会社(協同組織金融機関を含む。)の株式(優先出資を含む。(1)及び(2)において同じ。)又は持分を新たに取得する場合
 新たに取得する当該相手方の会社の株式又は持分の取得価額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
(2) 業務上の提携により相手方に株式を新たに取得される場合
 新たに当該相手方に取得される株式の数が当該連動子会社の最近事業年度の末日における発行済株式(発行済優先出資を含む。)の総数の100分の5以下であると見込まれること。
(3) 業務上の提携により他の会社(協同組織金融機関を含む。)と共同して新会社を設立する場合(当該新会社の設立が孫会社の設立に該当する場合を除く。)
 新会社の設立の予定日から3年以内に開始する当該新会社の各事業年度の末日における総資産の帳簿価額に新会社設立時の出資比率を乗じて得たものがいずれも当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該新会社の当該各事業年度における売上高に出資比率を乗じて得たものがいずれも当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
ロ 業務上の提携の解消を行う場合にあっては、当該業務上の提携の解消の予定日の属する当該連動子会社の事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該業務上の提携の解消による当該連動子会社の売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、次の(1)から(3)までに掲げる場合においては、当該(1)から(3)までに定めるものに該当すること。
(1) 業務上の提携により相手方の会社(協同組織金融機関を含む。)の株式(優先出資を含む。(1)及び(2)において同じ。)又は持分を取得している場合
 取得している当該相手方の会社の株式又は持分の帳簿価額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額の100分の10に相当する額未満であること。
(2) 業務上の提携により相手方に株式を取得されている場合
 当該相手方に取得されている株式の数が当該連動子会社の最近事業年度の末日における発行済株式(発行済優先出資を含む。)の総数の100分の5以下であること。
(3) 業務上の提携により他の会社(協同組織金融機関を含む。)と共同して新会社を設立している場合
 新会社の最近事業年度の末日における当該新会社の総資産の帳簿価額に出資比率を乗じて得たものが当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であり、かつ、当該新会社の最近事業年度の売上高に出資比率を乗じて得たものが当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であること。】

2.孫会社(子会社が支配する会社として内閣府令で定めるもの)の異動を伴う株式又は持分の譲渡又は取得
【次に掲げる孫会社の異動を伴うものであること。
イ 孫会社又は新たに孫会社となる会社の最近事業年度の末日における総資産の帳簿価額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であり、かつ、当該孫会社又は新たに孫会社となる会社の最近事業年度の売上高が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれる孫会社
ロ 新たに設立する孫会社の設立の予定日から3年以内に開始する当該孫会社の各事業年度の末日における総資産の帳簿価額がいずれも当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該各事業年度における売上高がいずれも当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれる孫会社】

3.固定資産の譲渡又は取得
【固定資産の譲渡又は取得による当該連動子会社の資産の減少額又は増加額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれること。】

4.事業の全部又は一部の休止又は廃止
【事業の全部又は一部の休止又は廃止の予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該休止又は廃止による売上高の減少額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

5.破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の申立て
【なし】

6.新たな事業の開始
【新たな事業の開始の予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該新たな事業の開始による売上高の増加額が当該連動子会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該新たな事業の開始のために特別に支出する額の合計額が当該連動子会社の最近事業年度の末日における固定資産の帳簿価額の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

7.預金保険法第74条第5項の規定による申出
【なし】

8.剰余金の配当(法第163条第1項に規定する上場会社等が発行する株式であって、その剰余金の配当が特定の子会社の剰余金の配当に基づき決定される旨が当該上場会社等の定款で定められた株式についての当該特定の子会社に係るものに限る。)
【一株当たりの剰余金の配当の額を前事業年度の対応する期間に係る一株当たりの剰余金の配当の額で除して得た数値が0.8を超え、かつ、1.2未満であること(当該連動子会社の最近事業年度の一株当たりの剰余金の配当の額と上場会社等が当該連動子会社の剰余金の配当に基づき決定した最近事業年度の一株当たりの剰余金の配当の額が同額の場合に限る。)。】

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インサイダー取引規制その17(重要事実/バスケット条項)

8.会社関係者等のインサイダー取引規制の要件その2 重要事実(続きその5)

(4)バスケット条項(166条2項4号)

前3号に掲げる事実を除き、当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの

が重要事実となります。

166条2項1号ないし3号に列記されている事実以外の事実であっても、当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすものは、重要事実となります。軽微基準に該当すれば基本的に重ねてバスケット条項に該当することはないと考えられますが、列記事由に包摂・評価される面とは別の重要な面を有している場合には、バスケット条項が問題となりうる点に注意する必要があります(日本商事事件最高裁判決・最判平成11年2月16日生じ法務1518号41頁)。どのような場合に列記事由に包摂・評価される面とは別の重要な面を有していると認定されるのかについては、判例からは明確な基準を読み取ることは困難なようなので、結局のところ他の場合と同様に「投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」か否かを検討するよりほかないように思われます。

「投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」は、通常の投資者が当該事実を知った場合に、当然に当該上場会社等の特定有価証券等の売買等をするか、あるいは、当然に売買等をしなかったであろうと認められるようなものをいうと考えられていますが、個別の事案における線引きは必ずしも容易ではありません。

バスケット条項については、立法論として、これを削除すべきとする見解や、逆に欧米と同様に包括条項のみで重要事実を定義すべきとする見解があります(前者につき、島崎憲明「インサイダー取引規制の明確化のための日本経団連の提言」商事法務1687号31頁以下、後者につき、黒沼悦郎「インサイダー取引規制における重要事実の定義の問題点」商事法務1687号40頁以下)。

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インサイダー取引規制その16(重要事実/決算情報)

8.会社関係者等のインサイダー取引規制の要件その2 重要事実(続きその4)

(3)決算情報(166条2項3号)

当該上場会社等の売上高、経常利益若しくは純利益(以下この条において「売上高等」という。)若しくは第1号トに規定する配当又は当該上場会社等の属する企業集団の売上高等について、公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)に比較して当該上場会社等が新たに算出した予想値又は当事業年度の決算において差異(投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)が生じたこと

が重要事実となります。

決定事実や発生事実と異なり、重要事実となるのは「投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして内閣府令で定める基準」(重要基準)に該当するものに限定されており、軽微基準はありません。有価証券の取引等の規制に関する内閣府令51条が重要基準を規定しています。

まず、当該上場会社等については、以下の4つの場合が重要基準に該当します。

1.売上高
新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)で除して得た数値が1.1以上又は0.9以下であること。<増減が10%以上>

2.経常利益
新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)で除して得た数値が1.3以上又は0.7以下(公表がされた直近の予想値又は当該予想値がない場合における公表がされた前事業年度の実績値が零の場合はすべてこの基準に該当することとする。)であり<増減が30%以上>、かつ、新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値と公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)とのいずれか少なくない数値から他方を減じて得たものを前事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額で除して得た数値が100分の5以上であること。<差額が5%以上>

3.純利益
新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)で除して得た数値が1.3以上又は0.7以下(公表がされた直近の予想値又は当該予想値がない場合における公表がされた前事業年度の実績値が零の場合はすべてこの基準に該当することとする。)であり<増減が30%以上>、かつ、新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値と公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)とのいずれか少なくない数値から他方を減じて得たものを前事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額で除して得た数値が100分の2.5以上であること。<差額が2.5%以上>

4.剰余金の配当
新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値(決算によらないで確定した数値を含む。)を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の対応する期間に係る剰余金の配当の実績値)で除して得た数値が1.2以上又は0.8以下(公表がされた直近の予想値又は当該予想値がない場合における公表がされた前事業年度の実績値が零の場合はすべてこの基準に該当することとする。)であること。<増減が20%以上>

次に、当該上場会社等の属する企業集団(連結)については、以下の3つの場合が重要基準に該当します。

1.売上高
新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)で除して得た数値が1.1以上又は0.9以下であること。<増減が10%以上>

2.経常利益
新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)で除して得た数値が1.3以上又は0.7以下(公表がされた直近の予想値又は当該予想値がない場合における公表がされた前事業年度の実績値が零の場合はすべてこの基準に該当することとする。)であり<増減が30%以上>、かつ、新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値と公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)とのいずれか少なくない数値から他方を減じて得たものを前事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額で除して得た数値が100分の5以上であること。<差額が5%以上>

3.純利益
新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)で除して得た数値が1.3以上又は0.7以下(公表がされた直近の予想値又は当該予想値がない場合における公表がされた前事業年度の実績値が零の場合はすべてこの基準に該当することとする。)であり<増減が30%以上>、かつ、新たに算出した予想値又は当事業年度の決算における数値と公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前事業年度の実績値)とのいずれか少なくない数値から他方を減じて得たものを前事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額で除して得た数値が100分の2.5以上であること。<差額が2.5%以上>

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インサイダー取引規制その15(重要事実/発生事実)

8.会社関係者等のインサイダー取引規制の要件その2 重要事実(続きその3)

(2)発生事実(166条2項2号)

当該上場会社等に166条2項2号に掲げる事実が発生したこと

が重要事実となります。

個々の発生事実は、以下のとおりです。金商法166条2項2号の列挙事由と、金融商品取引法施行令28条の2に規定されています。また、軽微基準については、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令50条に規定されています。引用のかたちになっている部分が軽微基準です。

イ 災害に起因する損害又は業務遂行の過程で生じた損害
【災害若しくは業務に起因する損害又は業務遂行の過程で生じた損害の額が最近事業年度の末日における純資産額の3%未満であると見込まれること。】

「見込まれる」の意義については、客観的、合理的に予測されることをいうと解されています。

ロ 主要株主の異動
【なし】

株主名簿上の書換えの有無は問わず、譲渡の効力が生じたときに発生すると考えられています。

ハ 特定有価証券又は特定有価証券に係るオプションの上場の廃止又は登録の取消しの原因となる事実
【法第2条第1項第5号に掲げる有価証券又は優先株に係る上場の廃止又は登録の取消しの原因となる事実(優先株以外の株券及び優先出資証券の上場廃止の原因となる事実を除く。)が生じたこと。】

上場廃止基準については以下をご参照下さい。

東証1部・2部:
http://www.tse.or.jp/rules/listing/stdelisting.html
東証マザーズ:
http://www.tse.or.jp/rules/listing/stdelisting_mo.html
大証1部・2部:
http://www.ose.or.jp/stocks/doc_kahk/kahk01.pdf
大証ヘラクレス:
http://www.ose.or.jp/stocks/doc_kahk/kahk01.pdf
ジャスダック:
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_25.jsp
http://www.jasdaq.co.jp/data/01_0605_210105.pdf
NEO:
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_neo6.jsp
名証・セントレックス:
http://www.nse.or.jp/j/img/kisoku/teikan/11.pdf
札証・アンビシャス:
http://www.sse.or.jp/pdf/about_amb.pdf
(参考)TOKYO AIM各種規定案:
http://www.tokyo-aim.com/market.html

ニ イからハまでに掲げる事実に準ずる事実として政令で定める事実(金融商品取引法施行令28条の2)

1.財産権上の請求に係る訴えが提起されたこと又は当該訴えについて判決があつたこと若しくは当該訴えに係る訴訟の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと
判決等がなされたことだけではなく、訴えの提起があったこと自体が、投資者の投資判断に影響を及ぼすと考えられることから、その時点でも重要事実となります。訴えの種類は問わず、給付の訴えのみならず、確認の訴えや形成の訴えも含むと解されています。インサイダー取引の未然防止の観点からは、会社関連の訴えは、広くこれに該当するものとして扱うのが妥当です。判決については、終局判決(第一審、控訴審、上告審を問わない)だけではなく、中間判決(民事訴訟法243条)も含まれます。訴訟物の価額(訴額)の算定基準については、以下を参照してください。
URL訴訟物の価額の算定基準
【イ 訴えが提起されたことにあっては、訴訟の目的の価額が最近事業年度の末日における純資産額の15%未満であり、かつ、当該請求が当該訴えの提起後直ちに訴えのとおり認められて敗訴したとした場合、当該訴えの提起された日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該敗訴による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。】
【ロ 訴えについて判決があったこと又は訴えに係る訴訟の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと(「判決等」)にあっては、イに掲げる基準に該当する訴えの提起に係る判決等の場合又はイに掲げる基準に該当しない訴えの提起に係る訴訟の一部が裁判によらずに完結した場合であって、当該判決等により会社(協同組織金融機関を含む。)の給付する財産の額が最近事業年度の末日における純資産額の3%未満であると見込まれ、かつ、当該判決等の日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該判決等による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。】

2.事業の差止めその他これに準ずる処分を求める仮処分命令の申立てがなされたこと又は当該申立てについて裁判があつたこと若しくは当該申立てに係る手続の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと
【イ 仮処分命令の申立てがなされたことにあっては、当該仮処分命令が当該申立て後直ちに申立てのとおり発せられたとした場合、当該申立ての日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該仮処分命令による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。】
【ロ 仮処分命令の申立てについての裁判があったこと又は当該申立てに係る手続の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと(「裁判等」)にあっては、当該裁判等の日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該裁判等による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。】

3.免許の取消し、事業の停止その他これらに準ずる行政庁による法令に基づく処分
【法令に基づく処分を受けた日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該処分による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。】

4.親会社(法第166条第5項に規定する親会社をいう。)の異動
【なし】

5.債権者その他の当該上場会社等以外の者による破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は企業担保権の実行の申立て又は通告
【なし】

6.手形若しくは小切手の不渡り(支払資金の不足を事由とするものに限る。)又は手形交換所による取引停止処分
【なし】

7.親会社に係る破産手続開始の申立て等
【なし】

8.債務者又は保証債務に係る主たる債務者について不渡り等、破産手続開始の申立て等その他これらに準ずる事実が生じたことにより、当該債務者に対する売掛金、貸付金その他の債権又は当該保証債務を履行した場合における当該主たる債務者に対する求償権について債務の不履行のおそれが生じたこと
「その他これに準ずる事実」としては、任意整理等がこれに該当すると解されています。
【売掛金、貸付金その他の債権又は求償権について債務の不履行のおそれのある額が最近事業年度の末日における純資産額の3%未満であると見込まれること。】

9.主要取引先(前事業年度における売上高又は仕入高が売上高の総額又は仕入高の総額の10%以上である取引先)との取引の停止
【主要取引先との取引の停止の日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該取引の停止による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。】

10.債権者による債務の免除又は第三者による債務の引受け若しくは弁済
【債務の免除の額又は債務の引受け若しくは弁済の額が最近事業年度の末日における債務の総額の10%未満であること。】

11.資源の発見
【発見された資源の採掘又は採取を開始する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該資源を利用する事業による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の10%未満であると見込まれること。】

12.特定有価証券又は特定有価証券に係るオプションの取扱有価証券としての指定の取消しの原因となる事実
【優先株に係る取扱有価証券としての指定(認可金融商品取引業協会がその規則により有価証券を取扱有価証券とすることをいう。)の取消しの原因となる事実(優先株以外の株券の取扱有価証券としての指定の取消しの原因となる事実を除く。)が生じたこと。】

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訴訟物の価額の算定基準


1.この基準は、参考資料であって、訴訟物の価額に争いがあるとき等の基準にはならない。
2.価格の認定に関しては、基準年度の価格について所管公署のこれを証明する書面を提出する等、適宜、当事者が証明すること。

訴訟物たる権利の種別
訴訟物の価格

1.所有権
目的たる物の価格

2.占有権
目的たる物の価格の3分の1

3.地上権・永小作権・賃借権
目的たる物の価格の2分の1

4.地役権
承役地の物の価格の3分の1

5.担保物権
(1)優先順位の担保物権がない場合
・被担保債権の金額
・目的たる物の価格が被担保債権の金額に達しないときは、物の価格

(2)優先順位の担保物権がある場合
・被担保債権の金額
・目的たる物の価格に優先順位の担保物権を考慮して修正を加えた金額が被担保債権の金額に達しないときは、その修正金額

6.金銭支払請求権
・請求金額
・将来の給付を求めるものは、請求金額から中間利息を控除した金額

7.物の引渡し(明渡し)請求権
(1)所有権に基づく場合
目的たる物の価格の2分の1

(2)占有権に基づく場合
目的たる物の価格の3分の1

(3)地上権・永小作権・賃借権に基づく場合
目的たる物の価格の2分の1

(4)賃貸借契約の解除等による場合
目的たる物の価格の2分の1

8.所有権移転登記請求権
目的たる物の価格

9.詐害行為取消し
・原告の債権の金額
・取り消される法律行為の目的の価格が原告の債権の金額に達しないときは、法律行為の目的の価格

10.境界確定
係争地域の物の価格

(備考)
1.物の価格とは、
・地方税法349条の規定による基準年度の価格のあるものについては、その価格
・その他の物については、取引価格とする
2.土地を目的とする訴訟については、平成6年4月1日から当分の間、その目的たる物の価格に2分の1を乗じて得た金額を基準とする
3.上訴(附帯上訴を含む)の場合は不服を申し出た限度で訴訟物の価額を算定
4.会社設立無効、株主総会の決議の取消し・無効確認等の訴えは、財産権上の請求でない訴えとして取り扱う
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インサイダー取引規制その14(重要事実/決定事実)

8.会社関係者等のインサイダー取引規制の要件その2 重要事実(続きその2)

(E)個々の決定事実(166条2項1号)(続き)

ヨ 業務上の提携その他のイからカまでに掲げる事項に準ずる事項として政令で定める事項

政令で定める事項については、金融商品取引法施行令28条(1号から11号まで)に定められています。前回同様、引用のかたちになっている部分が軽微基準です。

1.業務上の提携又は業務上の提携の解消

業務上の提携は、他の企業と協力して一定の業務を遂行する場合を広く含み、業務内容や提携の方式については、特に限定はなく、提携相手も法人に限らず個人も含み、また、外国の法人や個人も含まれます。ただし、資本提携のみの場合(株式の持合など)や人的な提携のみの場合(役員の派遣など)は含まれません。
業務上の提携
【当該業務上の提携の予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該業務上の提携による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、次の(1)から(3)までに掲げる場合においては、当該(1)から(3)までに定めるものに該当すること。
(1) 業務上の提携により相手方の会社の株式又は持分を新たに取得する場合:
新たに取得する当該相手方の会社の株式又は持分の取得価額が会社の最近事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。
(2) 業務上の提携により相手方に株式を新たに取得される場合:
新たに当該相手方に取得される株式の数が会社の最近事業年度の末日における発行済株式の総数の100分の5以下であると見込まれること。
(3) 業務上の提携により他の会社と共同して新会社を設立する場合(当該新会社の設立が子会社の設立に該当する場合を除く。):
新会社の設立の予定日から3年以内に開始する当該新会社の各事業年度の末日における総資産の帳簿価額に新会社設立時の出資比率を乗じて得たものがいずれも会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該新会社の当該各事業年度における売上高に出資比率を乗じて得たものがいずれも会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

業務上の提携の解消を行う場合
【当該業務上の提携の解消の予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該業務上の提携の解消による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、次の(1)から(3)までに掲げる場合においては、当該(1)から(3)までに定めるものに該当すること。
(1) 業務上の提携により相手方の会社の株式又は持分を取得している場合:
取得している当該相手方の会社の株式又は持分の帳簿価額が会社の最近事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額の100分の10に相当する額未満であること。
(2) 業務上の提携により相手方に株式を取得されている場合:
当該相手方に取得されている株式の数が会社の最近事業年度の末日における発行済株式(発行済優先出資を含む。)の総数の100分の5以下であること。
(3) 業務上の提携により他の会社と共同して新会社を設立している場合:
新会社の最近事業年度の末日における当該新会社の総資産の帳簿価額に出資比率を乗じて得たものが会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であり、かつ、当該新会社の最近事業年度の売上高に出資比率を乗じて得たものが会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であること。】

2.子会社(法第166条第5項に規定する子会社)の異動を伴う株式又は持分の譲渡又は取得
連動子会社以外の子会社で以下の場合(連動子会社については軽微基準はなし)
【イ 子会社又は新たに子会社となる会社の最近事業年度の末日における総資産の帳簿価額が会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であり、かつ、当該子会社又は新たに子会社となる会社の最近事業年度の売上高が会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満である子会社
ロ 新たに設立する子会社の設立の予定日から3年以内に開始する当該子会社の各事業年度の末日における総資産の帳簿価額がいずれも会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該各事業年度における売上高がいずれも会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれる子会社】

連動子会社(令第29条第8号に規定する特定の子会社)は、金融商品取引法第163条第1項に規定する上場会社等が発行する株式であって、その剰余金の配当が特定の子会社の剰余金の配当に基づき決定される旨が当該上場会社等の定款で定められた株式についての当該特定の子会社とされています。

3.固定資産(法人税法第2条第22号に掲げる固定資産)の譲渡又は取得

固定資産は、法人税法2条22号に掲げる固定資産をいいますが、同号の固定資産は、土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいいます。政令としては法人税法施行令12条に、たな卸資産、有価証券および繰延資産以外の資産のうち、‥效蓮↓同施行令13条に掲げる減価償却資産、E渡嘆弾権、き,らに準じるものを固定資産としています。

譲渡については、会社分割などの包括承継は含まれないと解されています。また、取得は、承継取得のほか、新たな固定資産の制作等による原始取得も含むと解されています。いずれも、海外で譲渡・取得する場合も含まれます。
譲渡する場合
【会社の最近事業年度の末日における当該固定資産の帳簿価額が同日における純資産額の100分の30未満であること。】
取得する場合
【当該固定資産の取得価額が会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれること。】

4.事業の全部又は一部の休止又は廃止

事業の全部又は一部の休止と廃止は、将来的に再開する意思があるか否か(一時的か否か)により区別されますが、いずも重要事実となります。
【事業の全部又は一部の休止又は廃止の予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該休止又は廃止による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

5.金融商品取引所に対する株券(優先出資証券を含む。)の上場の廃止に係る申請
【なし】

6.認可金融商品取引業協会に対する株券の登録の取消しに係る申請
【なし】

7.認可金融商品取引業協会に対する取扱有価証券である株券の取扱有価証券としての指定(証券業協会がその規則により有価証券を取扱有価証券とすることをいう。)の取消しに係る申請
【なし】

8.破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の申立て

決定事実とされているのは、上場会社等が自ら破産手続開始等を申立てについてであり、債権者等による申立ては、発生事実となります(金融商品取引法施行令28条の2第5号)。
【なし】

9.新たな事業の開始(新商品の販売又は新たな役務の提供の企業化を含む)
【新たな事業の開始(新商品の販売又は新たな役務の提供の企業化を含む。)の予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該新たな事業の開始による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該新たな事業の開始のために特別に支出する額の合計額が最近事業年度の末日における固定資産の帳簿価額の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

10.防戦買いの要請(法第166条第6項第4号又は第167条第5項第5号に規定する要請)

防戦買いの要請についての決定は、決定事実の1つですので、その決定については取締役会決議がなされている必要はありません。インサイダー取引規制の適用除外の1つとして規定されている防戦買い(166条6項4号、167条5項5号)については、取締役会が決定した要請に基づくもののみが適用除外となりますが、ここで重要事実とされている防戦買いの要請の決定は、他の決定事実と同様に、取締役会決議がなくとも、社長や常務会などの実質的に会社の意思を決定する機関が決定していれば足りることになります。
【なし】

11.預金保険法第74条第5項の規定による申出

金融機関特有の重要事実です。
【なし】

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インサイダー取引規制その13(重要事実/決定事実)

8.会社関係者等のインサイダー取引規制の要件その2 重要事実(続き)

(E)個々の決定事実(166条2項1号)

個々の決定事実は、以下のとおりです。金商法166条2項1号の列挙事由と、金融商品取引法施行令28条に規定されています。また、軽微基準については、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令49条に規定されています。引用のかたちになっている部分が軽微基準です。軽微基準が設けられていないものについては、その決定自体が投資家の投資判断に重大な影響を及ぼすと考えられていることになります。

なお、最近事業年度とは、重要事実の発生日の属する事業年度の前事業年度です(中止が問題となる場合など、時期がずれる場合で事業年度をまたぐ場合には、最近事業年度も変わってくる可能性があることに注意する必要があります。)。

イ 株式(優先出資を含む)・新株予約権の募集

会社法第199条第1項に規定する株式会社の発行する株式若しくはその処分する自己株式を引き受ける者(協同組織金融機関が発行する優先出資を引き受ける者を含む。)の募集(処分する自己株式を引き受ける者の募集をする場合にあっては、これに相当する外国の法令の規定(当該上場会社等が外国会社である場合に限る。)によるものを含む。)又は同法第238条第1項に規定する募集新株予約権を引き受ける者の募集についての決定が決定重要事実となります。
優先出資をその券面額を発行価額として優先出資者に対しその有する優先出資の数に応じて発行する場合
【優先出資1口に対して発行する優先出資の割合が0.1未満であること】
その他の場合
【払込金額の総額が1億円未満であると見込まれること】

株式の募集についての決定は、業務執行決定機関が、株式の募集それ自体や株式の募集に向けた作業等を会社の業務として行うことを決定したことをいうと解されているので(日本織物加工事件最高裁判決)、株式の募集にあたっては、取締役会決議において募集の詳細が決定されるよりも、かなり前の時期に重要事実が発生していることになります。

新株予約権は、新株予約権付社債に付されたものでもかまいませんが、社債については普通社債の発行は、ここでいう重要事実とはされていません。

株式・新株予約権の発行に関し、発行登録がなされることがありますが、発行登録をすることのみを決定し、具体的な新株等の発行については未定である場合には、重要事実とはならないとの指摘があります(注1)。

(注1)松本真輔「最新インサイダー取引規制―解釈・事例・実務対応」(商事法務研究会)2006年74頁

ロ 資本金の額の減少
【なし】

ハ 資本準備金又は利益準備金の額の減少
【なし】

ニ 自己株式の取得

会社法第156条第1項(同法第163条及び第165条第3項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定又はこれらに相当する外国の法令の規定(当該上場会社等が外国会社である場合に限る。)による自己の株式の取得についての決定が重要事実となります。
【なし】

ホ 株式無償割当て
【1株に対して割り当てられる株式が0.1未満であること】

ヘ 株式(優先出資法に規定する優先出資を含む。)の分割
【1株に対して増加する株式の数の割合が0.1未満であること】

ト 剰余金の配当
【前事業年度の1株・1口あたりの剰余金配当額からの増減が20%未満であること】

チ 株式交換

株式交換、株式移転、合併、会社分割、事業譲渡などのM&Aについては、一定以上の期間の検討・交渉を経てから実施されることになりますが、決定事実となる時期は、実施を正式決定して適時開示等を行うよりもかなり早い時期になるのが通常です。場合により、数ヶ月から1年程度前から重要事実が発生していることになりますので、発生時期について特に注意が必要な重要事実のひとつです。
完全親会社となる場合において
【株式交換完全子会社となる会社の最近事業年度の末日における総資産の帳簿価額が会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であり、かつ、当該株式交換完全子会社となる会社の最近事業年度の売上高が会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満である場合】
【子会社との間で行う株式交換】
(なお、完全子会社となる場合はなし)

リ 株式移転
【なし】

ヌ 合併
吸収合併で存続会社となる場合において
【合併による資産の増加額が最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該合併の予定日の属する事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該合併による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれる場合】
【発行済株式又は持分の全部を所有する子会社との合併】
(なお、新設合併、吸収合併で消滅会社となる場合はなし)

ル 会社の分割
分割会社の場合
【最近事業年度の末日における当該分割に係る資産の帳簿価額が同日における純資産額の100分の30未満であり、かつ、当該分割の予定日の属する事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該分割による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれる場合】
承継会社の場合
【当該分割による資産の増加額が最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該分割の予定日の属する事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該分割による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれる場合】

ヲ 事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け
譲渡会社の場合
【最近事業年度の末日における当該事業の譲渡に係る資産の帳簿価額が同日における純資産額の100分の30未満であり、かつ、当該事業の譲渡の予定日の属する事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該事業の譲渡による売上高の減少額が最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれる場合】
譲受会社の場合
【当該事業の譲受けによる資産の増加額が最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該事業の譲受けの予定日の属する事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該事業の譲受けによる売上高の増加額が最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれる場合、及び
発行済株式又は持分の全部を所有する子会社からの事業の全部又は一部の譲受け】

ワ 解散(合併による解散を除く。)
【なし】

カ 新製品又は新技術の企業化
【新製品の販売又は新技術を利用する事業の開始予定日の属する事業年度開始の日から3年以内に開始する各事業年度においていずれも当該新製品又は新技術の企業化による売上高の増加額が最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ、かつ、当該新製品の販売又は新技術を利用する事業の開始のために特別に支出する額の合計額が最近事業年度の末日における固定資産の帳簿価額の100分の10に相当する額未満であると見込まれること。】

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